相続ニュース

このコーナーでは、相続に関する情報をお届けします(毎月1日更新)

12月号「2022年を振り返って」

2022.12.01ニュース

皆さまにとってこの一年はどのような年だったでしょうか。

本年は年初から為替相場の変動が激しく、3月以降急激に円安・ドル高の方向へ大きく変動し、1990年以来およそ32年ぶりに円安を経験した一年でした。変動要因としては、コロナ禍やウクライナの情勢による原油価格の高騰などの原因が挙げられますが、最も大きな原因は日米の金融政策の違い、すなわち金利差が挙げられます。米国では、直近では、FRB(連邦準備理事会)が9月にFOMC(連邦公開市場委員会)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標を0.75ポイント引き上げ、3.25%とすることを決定しました。通常の3倍となる0.75ポイントの引き上げ幅となっています。他方、我が国においては、少なくとも、日銀の黒田総裁の任期が満了する2023年4月までは大幅な利上げは考えにくく、今後も暫くは日米の金利差は続くと考えられます。

ご承知のとおり、日米の金利差が拡大すれば、投資家としては円を売ってドルを買う動きが強まります。円安が続けば、輸入品の価格や、小麦など輸入原料を使っている製品の製造コストも増加するためその分価格が上がります。現在も物価高騰中で、家計にとってダメージを与えていますが、日本のインフレ率は3.6%と40年ぶりの高水準であり、円建てでの金融資産が目減りしているのが現状です。すなわち、じわじわと円の貨幣価値が下がっているのです。

円安傾向については、先月から少しずつ落ち着いてきましたが、年末や年明けの為替がどのようになるか、今後の先行きが不安定です。為替相場の動向を注視することも大切ですが、相場が予測しづらいときは、時間分散を図って変動の影響を抑えることも大切です。また、これまで築き上げてきた資産を守るためにも、「同じかごに卵を全部盛るな」という格言を踏まえて、外貨資産を保有することも今後の対策として検討されてみてはいかがでしょうか。

これから師走も大詰めになります。ただでさえ急かされる気持ちになりますが、何事もできる限り早めに準備をして、穏やかに年末年始を迎えたいものです。 これまで築いてきた大切な資産を守るためにも、「備えあれば憂いなし」、「転ばぬ先の杖」のマインドが必要です。お忙しい時期とは思いますが、資産を守るという姿勢と資産を守るために攻める姿勢を同時に持たれることをお勧めいたします。

当社では、FP(ファイナンシャル・プランナー)の視点からも、大切な資産を守るお手伝いをさせていただいております。何から始めたら良いかわからないと悩まれている方も多いと思います。お気軽にご相談ください。

少し早いですが、今年も一年大変お世話になり、誠にありがとうございました。 来年も皆様にとって素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

11月号「遺す側・遺される側の備え」

2022.11.01ニュース

相続が開始すると、亡くなられた方(被相続人)の相続財産を調査し、プラスの財産とマイナスの財産がどれくらいあるかを把握する必要があります。したがって、日頃から財産がどこにあるか、ご家族がすぐにわかるようにしておくことが大切です。

最近では、インターネットの利用率やスマートフォン普及率も高まり、パソコンやスマートフォン上でデータのやり取りをすることが増えてきました。これからの相続に関しては「デジタル遺品」についても確認しておく必要があります。「デジタル遺品」とは、一般的に、遺品となったパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器に保存されたデータ、インターネット上の情報記録など、被相続人が遺したあらゆるデータ情報をいいます。

特に、インターネットで取引する銀行口座の預貯金や証券口座の株式、投資信託及び外貨、さらに電子マネー、ビットコインなどの暗号資産を保有されている方も多いと思います。最近増えてきているサブスクリプションサービスなどの契約なども挙げられます。また、故人が運営していたブログ、ホームページ、電子メールの情報、写真データやSNSなど、あらゆる情報が含まれてきます。

これらのデータ情報といっても、財産的な価値を有するものと、財産的な価値を有しないものとあります。

相続人であるご家族は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するので、財産的な価値を有するものについては、原則として相続が可能です。ただし、デジタル遺品の内容から被相続人の一身に属したものと評価される場合には相続することができません。具体的には、各サービスの利用規約等を確認し、個別に判断する必要があります。

ところで、そもそもご家族が被相続人のデジタル機器であるパソコンやスマートフォンにアクセスできなければ、デジタル遺品の存在にすら気付かず、IDやパスワードについての手がかりがなければ迅速にアクセスできず相続手続きが困難になります。

デジタル遺産を遺す側は、「デジタル遺品」でご家族にこのような負担をかけないためにも、日頃から情報をまとめて保存しておき、もしものときは確認できるようにしておく必要があると思います。ご家族側は、日頃からデジタル遺品についての話題や、デジタル遺品になりうるデータや情報について話しておくことで、万が一の際に備えることが出来るのではないでしょうか。

デジタル遺品に限らず、日頃から財産状況を把握しておく、もしものときにご家族に分かるように書面やデータを残し、その場所を伝えておくというひと手間が、ご家族の安心につながると思います。

何をどのようにしたら良いか、何から手を付けたらよいか分からないと悩まれている方は、お気軽に当センターまでご相談くさだい。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

10月号「相続財産の清算人」

2022.10.03ニュース

亡くなられた方に相続人が1人もいない場合や、相続人がいるかどうかわからない場合、相続人全員が相続放棄をする場合に、亡くなられた方の財産上の権利義務を承継する相続財産法人(民法951条)が成立します。

現行法では、家庭裁判所から選任された相続財産の管理人が相続財産法人を管理・清算してきましたが、職務内容に照らして、このたび「相続財産の清算人」に名称が変更されることになりました(改正民法952条第1項、令和3年4月21日成立の「民法等の一部を改正する法律」(令和5年4月1日施行予定))。

現行法では、相続人のあることが明らかでない場合における相続財産の清算手続きは、①相続財産管理人の選任の公告、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告、③相続人捜索の公告の後、④権利関係を確定し、⑤相続財産管理人が相続財産を清算するという流れで、①から②までの間が2か月、②から③までの間が2か月以上、③から④までの間が6か月以上と、権利確定までに少なくとも10か月かかる手続きでした。①から③の公告手続きを同時にすることができなかったので、このように長期にわたっていました。

そこで、改正法では、①相続財産管理人の選任の公告と併せて③相続人捜索の公告をすることができ、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告(2か月以上)、④権利関係の確定、⑤相続財産の清算という手続きができることになりました。①・③を一つの公告で同時に行うことができるとともに、併せて②の公告もできるようになったので、④の権利関係確定までに最短で6か月に短縮することが可能になります。

なお、このような手続きを経ることがないよう、相続人となる方がいらっしゃらない場合など、ご自分が亡くなった後の手続きの煩雑さを考慮して、予め遺言書や寄附等、様々な準備をされておくことをお勧めいたします

お子さんがいらっしゃらない方も、相続人が配偶者と実父母、または配偶者と兄弟姉妹(実父母が亡くなられている場合)となるので、配偶者のためにも遺言書をご準備されておくことをお勧めいたします

何をどのようにしたら良いか、何から手を付けたらよいか分からないと悩まれている方は、お気軽に当センターまでご相談ください。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

9月号「相続不動産登記の義務化等」

2022.09.01ニュース

相続は開始したけれども遺産分割が未完了、もしくは、遺産分割や登記手続きにお金がかかるので価値のない土地をそのまま放置している方もいらっしゃるのではないでしょうか。遺産分割をせずに放置していると、相続人がその土地を共有している状態になり、代を経るにつれて相続人数が増えてしまい、相続登記をするための時間的・費用的・精神的な負担も増えるので大変です。それだけではなく、いわゆる所有者不明土地となり、土地の利活用が阻害され、土地管理・利用のために必要な合意を取り付けることが困難になるなど、公共事業にも影響を及ぼしています。

そこで、所有者不明土地問題の解消のための一連の法律が成立し、2021(令和3年)4月28日に公布されました。登記制度を改正し、相続不動産登記が義務化されることになりました。本制度は、2024(令和6)年4月1日から施行されます。

内容は、相続の発生を登記に反映させるため、不動産を取得した相続人(相続または遺贈により不動産を取得した相続人)に対し、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に、土地・建物の相続登記を申請することが義務付けられます。正当な理由なく申請しない場合には、10万円以下の過料の対象になります。なお、売買や贈与により取得した人や相続人以外の受贈者には、この登記は義務付けられません。

この制度については、すでに2024(令和6)年4月1日より前に相続が開始している場合には経過措置があり、「相続の開始を知り、かつ所有権を取得した日から3年を経過した日」と、「2027(令和9)年3月31日」のいずれか遅い方の日が登記申請期限になります。

では、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に分割協議が整わない場合はどのような方法を経る必要があるでしょうか。この場合は、相続税納付の場合と同様に、とりあえず法定相続分どおりの相続登記という方法があり、相続人の範囲の確定や法定相続分の割合を確定させます。このときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等の収集が必要です。しかし、数代にわたって相続登記がなされていない場合には、相続人の確定自体が難儀で、負担も増えます。そこで、相続人の負担を軽減する相続人申告登記制度が設けられ、相続不動産登記の義務化とともに、2024(令和6)年4月1日から施行されます。

相続人が「登記名義人の相続が発生したこと」及び「自らが登記名義人の相続人であることを登記官に申し出ること」により、申告義務を果たしたものとみなされます。この申告時点では、相続人の範囲を確定する必要がなく、相続人に関する書類は、申出をする相続人自身が被相続人(所有権登記名義人)の相続人であることがわかる戸籍謄本で十分とされ、この手続きに関する登録免許税はかかりません。これを「相続人申告登記」といい、3年以内に行えば過料は免れます。

ただし、その後分割協議が調って、不動産を取得した者が、分割協議後3年以内に登記申請を行わなければなりません。

このように、相続登記の義務化がなされます。まず、ご家族やご自身が所有されている不動産の名義を確認し、家族のうち誰に引き継いでもらいたいのか、売却して換価分割をするのかなどを検討しておくことが大切です。特に、共有の土地の場合は、話し合うべき相続人の人数が多い場合があるので注意が必要です。

相続登記の煩雑さの1つに遺産分割協議が挙げられます。遺言書できちんと指定されていれば遺産分割協議を経る必要がありません。遺言書で誰にどの土地・建物を相続させると指定してあれば相続する側が楽だったのに、と思うケースは多々あります。相続不動産登記の義務化を期に、遺言書の作成を検討されてはいかがかと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

8月号「空き家の発生を抑制するための特例措置について」

2022.08.01ニュース

空き家の発生を抑制するために、被相続人の居住の用に供していた空き家(以下、「家屋」)を相続した相続人が、耐震リフォーム(耐震性のある場合は不要)又は家屋を取り壊した後、その家又は敷地を譲渡した場合には、一定の条件の下、その譲渡所得から3,000万円を特別控除することができます(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)。

これまでは、相続開始の直前まで、被相続人が家屋に居住していた場合のみが適用対象でしたが、2019(平成31)年4月1日以降の譲渡について、要介護認定等を受け、被相続人が相続開始の直前に老人ホーム等に入所していた場合も、一定要件を満たせば適用対象になります。なお、例えば、老人ホーム等の施設ではなく、介護のため子の家に移り、そこで亡くなった場合は、この特例を受けることができません。

本特例を適用した場合の譲渡所得の計算は次のとおりです。

譲渡所得=譲渡価額-取得費(取得費が不明の場合は譲渡価額の5%で計算)-譲渡費用(除去費用等)-特別控除3,000万円

被相続人が20年間所有していた取得費不明の家屋(昭和55年建築)を相続し、取り壊して(除去費用200万円)、取り壊し後の土地を500万円で譲渡した場合の計算について、具体的にみてみましょう。

本特例の適用がない場合は、

譲渡所得=500万円-500万円×5%-200万円=275万円

所得税・復興特別所得税・住民税額は、275万円×20.315%=558,662円、税額は558,600円となります。

本特例の適用がある場合は、

譲渡所得=500万円-500万円×5%-200万円-3,000万円=0円

よって、所得税・復興特別所得税・住民税額は0円となります。

(【国土交通省ホームページ】「空き家の発生を抑制するための特例措置」(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)についての制度の概要より抜粋)。

この特例措置を受けるに当たっては、次の条件が必要です。

①相続日から起算して3年を経過する日の属する12月31日までの譲渡であること。

②2016年4月1日から2023年12月31日までの譲渡であること。

③相続開始の直前において、当該被相続人以外に居住をしていた者がいないこと。

④昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること。

⑤相続の時から譲渡の時まで空き家であること(相続の時から譲渡の時まで、事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。)

⑥譲渡価額が1億円以下であること。

⑦家屋を譲渡する場合(その敷地の用に供されている土地等も併せて譲渡する場合も含む)、当該譲渡時において、当該家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

この特例を受けるためには、空き家所在地の市町村にて「被相続人居住用等確認書」の交付を受けたうえで、税務署にて確定申告を行う必要があります。

詳しい適用要件や可否、確定申告時の提出書類等については、税理士やお住まいお近くの管轄税務署にお問い合わせください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

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