セミナー情報

7月号「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した際の特例」

2025.07.01 ニュース

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用財産(被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等、以下「被相続人居住用家屋等」。)を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売却した場合、一定の要件の下、譲渡所得の金額から最高3,000万円(注)まで控除することができます。今回の相続ニュースでは、この特例の内容ついてご紹介します。

(注)令和6年1月1日以後に行う譲渡で被相続人居住用家屋等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合には2,000万円まで。

(1)被相続人居住用家屋等について

原則として、次の①から③全ての要件を満たす家屋をいいます。

①相続開始の直前まで、被相続人の居住の用に供されていた家屋であること。

昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること。

③相続開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと。

ただし、被相続人が相続の開始直前に老人ホームに入居していた場合には、①の要件が緩和されており、自宅を離れて老人ホームに入居した後であっても、一時的に自宅に戻るなど生活の拠点を完全に移したといえない一定の要件を満たす場合には、①の要件に該当すると認められます。

(2)特例適用を受けるための要件について

売った人が、相続または遺贈(死因贈与を含む、以下同じ。)により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人(包括受遺者を含む、以下同じ。)であること。

②次のイ、ロまたはハの売却をしたこと。

イ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

 (注)被相続人居住用家屋は次の(イ)および(ロ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(イ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ)譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること。

ロ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。

(注)被相続人居住用家屋は次の(イ)の要件に、被相続人居住用家屋の敷地等は次の(ロ)および(ハ)の要件に当てはまることが必要です。

(イ)相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。 (ハ)取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと。

ハ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売る場合で、次の(イ)および(ロ)または(イ)および(ハ)の要件に当てはまること(上記イに掲げる譲渡に該当するものを除く。)。(※)

(イ)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと。

(ロ)譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと。

(ハ)譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと。

 ※ハの要件については、令和6年1月1日以後に行う譲渡に限ります。

③相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

④売却代金が1億円以下であること。

⑤売却した家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと。

⑦親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと。

(3)手続きについて

この特例を受けるためには、土地を譲渡した年分の所得税の確定申告書に一定の書類(「被相続人居住用家屋等確認書」※等)を添付の上、確定申告期間内に税務署に提出する必要があります。【※詳しくは国土交通省のホームページ参照】

なお、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付の申請は、被相続人居住用家屋の所在市町村長に、被相続人居住用家屋等に係る電気・水道・ガスの使用中止日を確認できる書類等の一定の書類を添えて提出する必要があります。

(4)本特例は、相続税の取得費加算の特例と併用することができません。

このように、被相続人居住用家屋等(空き家等)を売却した場合には、譲渡所得の特別控除を受けることができます。具体的にこの特例の適用を受けることをご検討の方は、税理士にご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

ページの先頭へ↑

相続について、どんな悩みも「まずはお気軽にご相談」ください。
お電話でのお問い合わせ
電話受付時間:月~金曜 9:00~17:30
株式会社 日本相続センター

株式会社 日本相続センター 〒862-0962 熊本市田迎5-7-6