7月号「自筆証書遺言の保管制度開始」
2020.07.01
6月19日、政府が新型コロナウイルスの緊急事態宣言を解除し、従前の生活が 徐々に戻りつつあります。しかし、未だ世界的に蔓延し、亡くなられた方や 罹患された方が多いのが現状です。罹患された方々には1日も早い回復をお祈り 申し上げます。 また、引き続き身を守る備えとして、「三密(密閉・密集・密接)を避ける」、 「マスクや手洗いを徹底する」、「日頃から規則正しい生活を送る」ことを心掛 け、自分や大切な家族の健康を維持しましょう。 備えの大切さは、6月号の相続ニュースでもお伝えしましたが、7月号では、自筆 証書遺言が7月10日から法務局で保管してもらえる「自筆証書遺言保管制度」を お伝えします。 自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自筆し、これに押印して作 成する遺言をいいます。自筆証書遺言は、自分で作成出来るので費用がかからず 気軽に何度でも作成可能であることや、財産目録をパソコンで作成可能になった こと(2019年1月から)など、作成が容易になった点がメリットとして挙げられ ます。他方、自筆証書遺言の方式(いわゆる作成上のルール)については、民法 上定められているため、不備があれば無効となってしまうことや、保管の面で偽 造や紛失のリスクがある点がデメリットとして挙げられます。 この保管面のリスクを軽減するため「自筆証書遺言保管制度」が生まれました。 遺言書の保管の申請費用は、1件につき3,900円で、保管開始後の閲覧請求(モ ニターでの閲覧は1回につき1,400円、原本の閲覧請求は1回につき1,700円)、 遺言書情報証明書の交付請求(1通につき1,400円)ができます。 また、自筆証書遺言の保管の撤回し、遺言書の返還してもらうことも可能です。 これまで、自筆証書遺言は遺言者の死亡後、家庭裁判所での検認手続きを経る必 要がありましたが、この保管制度によって保管された自筆証書遺言については、 検認の手続きが不要になりました。 しかし、この保管申請の際に遺言書の内容面まではチェックされません。しがっ て、遺言者自身が自筆証書遺言の内容面をしっかりと吟味しなければ、後々の争 いの素になることはこれまでと変わりありません。遺言書はあるけれども、相続 人間での不公平感や遺留分への配慮がなされていないものなど、内容面に十分に 配慮がされていなければ結局相続人間で争うことになってしまいます。 何をどようにすれば円満で幸せな相続を迎えられるかというヒントについては、 ぜひ当センターまで気軽にご相談ください。相談は無料です。 ワンストップ相続のルーツ 代表 伊積 研二