相続ニュース

このコーナーでは、相続に関する情報をお届けします(毎月1日更新)

9月号「被相続人が契約していた生命保険契約の確認方法」

2024.09.02ニュース

暦の上ではもう秋ですが、例年に比べて暑さが厳しいですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。今回の相続ニュースでは、被相続人が生命保険を契約していたかどうかの確認方法についてご案内したいと思います。

まず、基本的には、被相続人から生命保険契約加入の有無を直接確認する方法が挙げられます。例えば、生命保険証券の有無、保険会社から定期的に送付される郵便物を確認したり、通帳で保険料の口座振替等の有無を確認したりすることで、どの保険会社と契約しているかがわかります。

しかし、日頃からそのような話をする機会もなく、保険証券を紛失されていたり、郵便物が見当たらなかったりする場合もあります。その場合には、次に、「生命保険契約照会制度」を利用することができます。

「生命保険契約照会制度」とは、平時の死亡または災害時の死亡もしくは行方不明によって、生命保険契約に関する手掛かりを失い、保険金等の請求が困難な場合等において、相続人等の申し出により、一般社団法人生命保険協会(以下、「生命保険協会」)が、各生命保険会社へ、当該ご親族等が保険契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を一括で照会する制度です。利用料は、照会1件あたり3,000円です。利用方法は、平時利用と災害時利用があります(災害時利用の場合は、手数料は無料です。)。なお、調査の結果、対象契約が存在しなかった場合や、照会者の申し出の紹介内容に誤りが判明した場合であっても、支払後の利用料の返金はされません。

【一般社団法人生命保険協会のホームページhttps://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/より一部抜粋】

調査対象となる契約は、照会受付日現在有効に継続している個人保険契約で、死亡保険金支払済、解約済、失効等であるものは含まれません。照会事由が死亡の場合は、死亡日まで最低3年間は遡って調査します。なお、財形保険・財形年金保険、支払が開始した年金保険、保険金等が据置きとなっている保険は対象外です。

保険契約の有無の照会結果の受け取りまで、14営業日程度かかります。その後、具体的な契約内容については、各保険会社に連絡し、確認を行う必要があります。

この制度は、契約者または被保険者が認知症等で認知判断能力が低下した場合にも、一定の要件の下、利用することができます(生命保険協会所定の診断書が必要)。ご利用にあたっては、生命保険協会のホームページにて、制度の詳細をご確認ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

8月号「路線価」と相続税申告

2024.08.01ニュース

今年の「路線価」も、7月1日に国税庁により公表されました。「路線価」とは、1月1日時点で国税庁が算定した全国の主な道路に面した土地の1平方メートルあたりの評価額のことで、相続税や贈与税を算定する基準となります。

算定する際の対象とする県内の「標準宅地」の変動率は、平均で昨年から2.7%上昇しました。なお、上昇は7年連続で、上昇幅も前年比0.4ポイントアップとなりました。

熊本県内では、台湾企業のTSMC進出に伴い、菊陽町や合志市などで引き続き土地の需要が高まり、地価の上昇の影響などにより、路線価が上昇しているようです。特に、上昇率が大きかったのは、菊陽町光の森3丁目「県道住吉熊本線」で、昨年より24%上昇し、1平方メートル当たり15万5000円になっています。

他方、熊本県の県南では、人口減少などで下落が続いているようですが、下落幅は全体的には小さくなっているようです。

ご自分の土地が相続の際、どれくらいの価値があるのかを把握するための重要なのが「路線価」です。なお、路線価が定められている地域と、そうでない地域がありますので、路線価が定められていない地域については、その市区町村の「評価倍率表」にて計算することになります。

国税庁のホームページにも説明がありますので、相続対策の一貫として、まずはご自分が所有する土地について確認されてみてはいかがでしょうか。

ただし、相続税の申告が必要な方は、相続税に強い税理士に申告をお任せされることをお勧めします。土地の相続税評価は、単純に「路線価×地積」ではなく、「路線価×地積×補正」によって計算します。この「補正」が重要であり、相続税額を左右します

当センターでは、相続税に強い税理士をご紹介することができますので、相続税申告が必要な方は、一度ご相談ください。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

7月号「相続をしたくない場合について」

2024.07.01ニュース

相続放棄とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がないとする選択をいいます。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として3か月の熟慮期間内に、単純承認もしくは限定承認または相続放棄をしなければなりません(民法915条1項)。限定承認または相続放棄をしようとする場合は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません(民法922条、924条、938条)。なお、単純承認の場合は、この手続は必要ありません。

なお、相続人全員が家庭裁判所に相続放棄を申述した場合は、結果として相続する者がいなくなった場合に当たるため、利害関係人の申立てにより、家庭裁判所が相続財産の清算人を選任します(民法952条1項)。

被相続人の財産は最終的には相続財産清算人により売却・現金化され、国庫に納められることになりますが、この手続にかかる時間は1年から2年程度かかると考える必要があるようです。

では、そもそも相続放棄を選択する理由はどのようなものが考えられるのでしょうか。

相続放棄の理由としてよくあるものは、被相続人の積極財産より消極財産(債務)が上回る場合です。

この場合には、単純承認をしてしまうと、相続人は被相続人の消極財産を自己の財産で弁済しなければなりません。そのようなことはできない、またはしたくないということであれば、限定承認(相続人が被相続人の積極財産の範囲内でのみ消極財産を弁済する相続方法)または相続放棄をしなければなりません。

また、生前、被相続人と仲が良くなかった他の相続人と関わりたくない(疎遠や絶縁状態で遺産分割協議に参加したくない)という方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、相続自体にあまり良い印象がなく、そもそも関わりたくないという理由もあると思います。

遺言があればそれに従うが、遺言書がなく、遺産分割協議で揉めそうで関わりたくないので相続人の立場を辞退したい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

相続の際には、これまでの被相続人に対する様々なおもいの他にも、これまでの家族の在り方について我慢してきた思い出などが出てきてしまうことが多いようです。

残されたご家族がなるべくいわゆる「争族」にならないように、財産及び債務を確認し、お元気なうちに遺言を作成されておかれるのがよろしいかと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

6月号「2025年問題と『介護』の備え」

2024.06.03ニュース

日本の人口は2010年を境に減少を続け、2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳)となります。内閣府が公表している令和4年度高齢者会白書によると、2025年には75歳以上の後期高齢者の人口が2180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1497万人に達すると予測されています。日本の総人口がおよそ1億2393万人(総務省人口統計2024年5月1日現在)ですので、国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となります。

「2025年問題」とは、このように日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となり、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが問題になることをいいます。他方、少子化は止まらず、総務省が公表した資料によると、2023年4月1日時点での日本の総人口に占める子ども(15歳未満)の割合は、11.5%と、49年連続で低下しています。

社会保障の担い手である労働人口が大幅に減少するため、介護を必要としているのに受けられない「介護難民」や、1人当たりの社会保障負担がますます重くなることが予測され、大きな課題となっています。

そうすると、自分のことは出来る限り自分で出来るように国民一人一人が今から備えておくことが必要です。社会保障制度を維持するためにも、一人一人の健康寿命を延伸することも大切です。

加えて、「人生の3大支出」といわれる住宅資金、教育資金、老後資金のうちの一つ、老後資金の準備が必要です。「介護」の備えの一つに保険で備えておくという選択肢もあります。

最後に、「介護」の先の備えとして、遺言書を作成されることもおすすめいたします

「自分はどう生きるのか」というライフプランの視点から現状を把握し、老後にどれくらいお金が必要なのか、家族やお世話になった人に何を残したいと思うのかなど、身の回りの整理も含めて検討されることが大切です。

思い立ったが吉日です。出来る限りお元気なうちに、じっくりと時間をかけて検討できるよう、早めの対策をお勧めいたします

何から手をつければ良いのかお悩みの方は、お気軽にご相談いただきたいと思います。介護の備えも含めてご一緒に考えてみませんか。ご相談は無料です。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

5月号「空き家と相続」

2024.05.01ニュース

昨年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下、改正法)をご存知でしょうか。ニュース等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、改正法のポイントとしては次のとおりです。

まず、空き家の所有者の責任が強化されることになり、これまでの「適切な管理の努力義務」に加え、所有者に国や自治体の施策に協力する努力義務が追加されることになりました。

また、空き家の管理確保として、放置をすれば特定空家になるおそれのある空き家(管理不全空家)に対しては、管理指針に即した措置を市区町村長から指導・勧告がなされ、勧告を受けた管理不全空家についての固定資産税の住宅用地特例(6分の1に減額)が解除されます。

さらに、勧告等の円滑化のため、市区町村長が空き家の調査をすることができ、代執行の円滑化のため、命令等の事前手続を経るいとまがない場合に緊急時の代執行をすることができるとする、特定空家の除却が認められることになります。

加えて、空き家の活用拡大なども改正法に盛り込まれています。

空き家の所有者になるきっかけとしては、相続が最も多く54.6%です。相続人がすでに家を所有している場合が多く(2人以上世帯の持家率は68.1%(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査「2人以上世帯調査」2022年」より))、また、相続人が遠方に居住している場合は空き家を日常的に管理することが難しく、いずれも空き家の管理が心配です。人が居住しなくなった家は、住宅の腐朽や破損が進行しやすく、周辺環境にも悪影響を及ぼしうるので更に管理面の負担が増えます。また、空き家の所有者は65歳以上と高齢の方が多くなっているのが現状で、体力的にも管理の心配事が増えます。

しかし、改正法では、前述のとおり、空き家の所有者の責任強化、空き家の管理確保の措置など、所有者の責任がより一層強化されています。日頃から適切な管理に努めたいところですが、適切な活用方法も含めて空き家について今後どのようにするのか(売買が可能であれば売買、更地にする、状態が良ければ第三者に賃貸する等)も含めて早めに検討されることをお勧めいたします。

また、相続に関しては、自宅を所有されている方や、先祖代々から受け継ぐ土地建物を所有されている方は、誰にどのように引き継がせたいのか、その思いは実現可能なのかなども含めて考えをまとめ、思いを形にされておくこと(遺言書の作成)や、生前に売買して現金化しておくなどのひと工夫で、残された相続人が困らないようにしておくことも大切なことだと思います。

空き家と相続は意外と身近な関係です。ご自分が亡き後の自宅を特定空家にしないためにも、相続人の置かれている現状を踏まえて、誰に相続させたいのかを考えるきっかけになれば幸いです。

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