セミナー情報

◎ 2019年10月 の記事一覧

10月号 「遺言執行者の権限の明確化」

2019.10.01 ニュース

相続法の改正により、遺言執行者の権限が新民法にて明確化されることになりました。 主なポイントは以下のとおりです。 ・遺言執行者の通知義務(1007条第2項の新設) ・遺贈の履行に関する遺言執行者の権限(1012条第2項の新設) ・遺言執行者の復任権の拡大(1016条第1項、第2項) 今月号では、これらのポイントを簡単にご紹介します。

1,遺言執行者とは

遺言執行者とは、端的には、被相続人の遺言内容を実現するため、適正に各種手続きや相続処理を遂行する人をいいます。遺言執行者は、遺言で一人または数人指定できますが(民法1006条、以下同法。)、指定するかどうかは任意です。したがって、遺言で指定されていない場合があります。その場合は、利害関係人の請求によって、家庭裁判所に請求し、指定してもらうこともできます(1010条)。

2,遺言執行者の通知義務(1007条第2項の新設)

これまで、遺言執行者は、遺言執行者になった旨について通知義務が課されていませんでしたが、相続人は遺言の内容や遺言執行者の有無について影響があるので、相続人の利益を保護するため、相続人に対する通知義務を課しました(1007条第2項)。 具体的には、遺言執行者は、遺言執行者に就任した場合、就任を承諾した旨、任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければなりません。なお、この通知は、相続人保護の観点から規定されているので、相続人に対して実施すれば足り、相続人以外の受遺者等への通知までは必要ありません。

3,遺贈の履行に関する遺言執行者の権限(1012条第2項の新設)

前述のとおり、遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(1012条第1項)。 新法では、受遺者による履行請求の相手方を明確化するため、遺言執行者が在る場合の遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができるとされたので(1012条第2項)、受遺者は、物の給付や対抗要件具備(登記など)などの履行請求をする場合は、遺言執行者にしなければなりません。

4,遺言執行者の復任権の拡大(1016条第1項、第2項)

遺言執行者は、遺言者が遺言に反対の意思を表示した場合を除き、「やむを得ない事由」がなければ、第三者に復任できませんでしたが、新法により、「自己の責任で」第三者に遺言執行の任務を行わせることができるようになりました。 実際に遺言執行者として相続人が指定されることが多い一方で、必ずしも指定された相続人が相続について十分な知識がないことや、遺言執行の職務自体が広範で適切に処理ができず、適切な遺言の実現が困難な場合があるため、新法では遺言者が遺言で別段の意思を表示しない限り、「自己の責任で」第三者に任務を行わせることができることになりました(1016条第1項)。 その場合、遺言執行者は、相続人に対して、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、相続人に対して第三者を選任及び監督についての責任のみを負うこととされました(同条第2項)。

改正法では、遺言執行者の権利義務がより明確化され、権限も拡大しているところがポイントです。遺言執行者を遺言で指定する際は、これらの点も考慮されて、相続人に任せるのか、予め専門家などの第三者に任せるのかということについても検討されることをお勧めいたします。

                                     ワンストップ相続のルーツ

                                     代表 伊積 研二

ページの先頭へ↑

相続について、どんな悩みも「まずはお気軽にご相談」ください。
お電話でのお問い合わせ
電話受付時間:月~金曜 9:00~17:30
株式会社 日本相続センター

株式会社 日本相続センター 〒862-0962 熊本市田迎5-7-6