12月号 「一年を振り返って」
2019.12.02
皆さまにとってこの一年はどのような年だったでしょうか。 今年5月1日に皇太子さまが天皇陛下に御即位され、新しい天皇皇后両陛下が誕生するとともに、元号も「平成」から「令和」へと改元されるという記念すべき一年でした。
それから、これまでの相続ニュースでもご紹介してきましたように、約40年ぶりに民法の相続法の分野で大幅な改正がなされた一年でもありました。 いずれの出来事も、前の天皇皇后両陛下のご年齢への配慮、高齢化社会への対応という点で、世相を反映する大きな出来事だったと思います。
相続法の主な改正点としては、
① 配偶者居住権の新設
② 自筆証書遺言の方式緩和及び法務局での保管制度の新設
③ 遺留分制度に関する見直し
④ 特別の寄与制度の新設
などが挙げられますが、配偶者居住権以外の改正については既に施行されています(配偶者居住権についての施行日は2020年4月1日)。
なお、各法律の詳細につきましては、以前の相続ニュースでご紹介しましたので、ここでは割愛させて頂きます。
税制では、相続に関する税制改正の中でも意外と知られていない改正に、平成30年(2018年)に税制改正された「相続を原因とする土地の相続登記の登録免許税を免税」とする措置があります。
この措置は、相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置です。 通常、不動産の所有者が死亡した場合は、相続を原因とする所有権の移転の登記が必要ですが、法律で登記期限が定められていないために、相続登記が未了のまま放置され、その結果、様々な社会問題が出てきています。
この免税措置は、相続登記の促進を図り、空家などの社会問題を軽減することが目的だと思われますが、2018年4月1日から2020年3月31日まで の間に申請された土地のみの相続登記が対象となりますので、対象となる方は早めに申請された方が良いでしょう。
この制度を活用して、相続登記をしないまま何代もそのままになっていたり、お金がかかるからと相続登記を放置していたり、面倒だからと手をつけないままでいる厄介な状態を改善していただきたいものです。
これから師走も大詰めになります。ただでさえ急かされる気持ちになりますが、できる限り早めに準備をして、穏やかに年末年始を迎えたいものです。 相続も「備えあれば憂いなし」、「転ばぬ先の杖」が必要です。後回しにすればするほど実は厄介ですので、例えば、法改正の再確認やご自分の財産の総決算など今できることから手掛けて、年明けにでも頼れる相続のプロにご相談頂ければと思います。
少し早いですが、今年も一年大変お世話になり、誠にありがとうございました。 来る年が皆様にとって素晴らしい一年となりますようにお祈り申し上げます。
ワンストップ相続のルーツ
代表 伊積 研二