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2月号「令和5年度税制改正大綱」について

2023.02.01 ニュース

昨年12月23日、「令和5年度税制改正大綱」が閣議決定されました。この改正大綱は、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り分け資産所得倍増につなげるための措置や、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置など、様々な内容を含んでいます。今回の相続ニュースでは、この改正大綱のうち、資産課税及び住宅・土地税制部分の改正案について、主な内容をご紹介します。

1.相続時精算課税制度の見直し

(1)相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母など(以下、「特定贈与者)から18歳以上の子又は孫など(以下、「相続時精算課税適用者」)に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与の制度です。現行制度下では、本制度を選択した場合の贈与税額は、本制度を選択した以後の贈与については基礎控除110万円を控除せず、本制度に係る贈与財産の価額の合計額から非課税枠2,500万円(特別控除、複数年にわたり利用可)を控除した後の金額に一律20%の税率を乗じて算出します。本制度の適用を受ける場合には、相続時精算課税適用者が、特定贈与者から財産の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、一定の書類を添付した贈与税の申告書を税務署に提出する必要があります。なお、一旦本制度を選択した場合、選択した年以後、特定贈与者が亡くなるときまで継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。

今回の改正大綱では、この制度について、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別に、課税価格から基礎控除110万円を控除できるとされます。特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除後の残額になります。

なお、上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用される予定です。

(2)また、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が、その贈与の日から特定贈与者の死亡に係る相続税申告の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格への加算等の基礎となるその土地又は建物の価額は、その贈与の時における価額からその価値のうちその災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とされます。

 なお、上記の改正は、令和6年1月1日以後に生ずる災害により被害を受ける場合について適用される予定です。

2.相続開始前に贈与があった場合の相続税の課税価格への加算期間等の見直し

現行制度では、相続または遺贈により財産を取得した者が、その相続の開始前3年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額が相続税の課税価格に加算されますが、この暦年課税における相続前贈与の加算期間を7年に延長します。なお、延長した期間(4年間)に受けた贈与のうち一定額(100万円)については、相続財産に加算しないこととする見直しが行われます。

なお、上記の改正は、令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用される予定です。

3.教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し

(1)直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、一定の措置を講じた上、その適用期限が令和8年3月31日まで3年延長します。この改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る相続税又は贈与税について適用される予定です。

(2)直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、受贈者50歳に達した場合等において、非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額に贈与税が課されるときは、一般税率を適用することとした上、その適用期限が令和7年3月31日まで2年延長します。この改正は、令和5年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用される予定です。

4.空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例の拡充等

次の措置を講じた上、その適用期限が令和9年12月31日まで4年延長します。

(1)本特例の適用対象となる相続人が相続若しくは遺贈により取得した被相続人居住用家屋の一定の 譲渡、又はその被相続人居住用家屋とともにするその相続若しくは遺贈により取得した被相続人居住用家屋の敷地等で、その相続の時からその譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないものにつき、一定の譲渡をした場合において、その被相続人用家屋がその譲渡の時からその譲渡の日に属する年の翌年2月15日までの間に、次に掲げる場合に該当することとなったときは、本特例を適用することができるとされます。

 ①耐震基準に適合することとなった場合

 ②その全部の取壊し若しくは除去がされ、又はその全部が滅失した場合

(2)相続又は遺贈による被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得をした相続人の数が3人以上である場合には、特別控除額が2,000万円とされます。

上記の改正は、令和6年1月1日以後に行う被相続人居住用家屋等の譲渡について適用される予定です。

以上が改正案の概要です。通常、税制改正大綱はおおむねそのままの内容で税制改正の基になりますが今後も引き続き改正案の動向に注視したいと思います。

ワンストップ相続のルーツ

代表 伊積 研二

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